今回は2020年7月14日にオンラインで開催された「みんなのM5Stack自慢大会」の様子を紹介します。

M5Stackファンが集まる「M5Stackユーザーグループ」があり、Facebookを中心に活動をしています。 原稿執筆時点で2,000人強の登録者がいて、情報交換等をおこなっている他、3ヶ月に1回程度、全国数カ所でユーザーミーティングを開催しています。 今年に入り、新型コロナウィルスの影響でリアルでの開催が困難になったため、4月の番外編ハンズオンに続き、本編としても今回始めてオンラインでのイベントを開催しました。

事前に自慢の作品を投稿してもらい、7月14日のイベントでは一人5分の持ち時間で作品を紹介してもらいました。 今回、関東地区だけでなく金沢、京都、大阪、福岡などいろいろなエリアから参加していただけました。 場所の制約なしにM5Stackに興味を持つ方々が一堂に会して作品自慢や情報交換、交流をおこなえたのは、オンラインならではのメリットでした。 参加者の中には、発表の機会を待っていた常連の方もいましたし、今回初めてライトニングトークに挑戦された方も5人ほどいました。 今後もこういった発表、交流の機会を用意しますので、皆さん是非ご参加ください。 では、発表順に作品を紹介します。

「UIFlowでマンデルブロ集合」秋田純一さん

「マンデルブロ集合」というフラクタル図形を計算してM5StackのLCDに表示するプログラムを「意地で」UI FlowのBlocklyだけで書いてみたという作品。描画には37分かかるそうです。「なぜマンデルブロを書いたのか」という司会者の質問には「そこにマンデルブロがあるから」だそうです。いきなりレベル高そうなスタートです。

「まねきねこ健康センサー」高石武史さん

Max30102というセンサーで心拍数と酸素飽和度を測り、酸素飽和度が95%以上ならM5StickCのLEDを光らせ、その光で太陽電池駆動のまねき猫を動かすという、前半=すごい、後半=なごみ系の作品。酸素飽和度計は品薄で、ご家族にも高評価だったとか。

「M5Atomで作る二足歩行ロボット / M5StickCで作るメカナムホイール ローバー」長野隆生さん

2作品を紹介されました。二足歩行ロボットはM5 ATOM Matrixで6個のサーボモーターを制御し、二足で歩き、手も動きます。ATOM Matrixの顔がなんだかかわいい。メカナムホイールローバーはM5StickCで制御しています。ロボットの胴体、手足やメカナムホイールを3Dプリンタで作ってしまうなんてすごいです。

「M5Scratch (M5S* for Scratch)」武藤武士さん

ビジュアルプログラミングで有名なScratchとM5Stack、M5StickCで双方向にやり取りができる作品。M5からはIMUデータや温度データがScratchに送れ、ScratchからはM5のLCDの背景色などが制御できます。M5といえばUI Flowだと思っていたので、Scratchとの組み合わせは驚きです。

「ストレスモニター」@anysonicaさん

GSR(皮膚抵抗)センサーでストレス値を測り、ATOM MatrixのLEDの色で可視化する作品。深呼吸してリラックスするとATOMが緑に光るとのこと。心を鎮める練習が必要な方には是非お試しいただきたい作品です。

「パチパチくん」しろいとり子さん

パチパチ拍手を送りたいときに「8」キーをバシバシ叩いて「8888…(パチパチ)」を入力してくれる作品。そのためにPuppyCの4つあるサーボモーターの1つを使ってしまうという発想が素晴らしい。こういう作品、素敵です。「声で制御できるといいですね」という司会者の振りに、「頑張ります」と、私には聞こえたような気がします。

「M5Stack Serial LCDライブラリ / Kimwipe Stack」Masawo Yamazakiさん

1つ目はM5Stackをシリアル経由の外部ディスプレイとして使うArduinoIDE用ライブラリです。SPRESENSE用に作ったとのこと。力作です。2つ目はM5Stackのケース保護のために、キムワイプのシールでデコった作品。作者は「えむふぁいぶ」と「きむわいぷ」のゴロが似ていると言うのですが。。。

「目M5Stacks(めむふぁいぶすたっくす)」井上周さん

M5StickCから信号を送り、メガネのレンズ部分に埋め込まれた2台のM5Stackに表示される目の表情を変化させる作品。 「授業中の居眠りにも使えます」とのことですが、先生はそんなに甘くないと思います。(笑)

「M5Stack / M5StickCで使えるグラフィックライブラリ」らびやんさん

「らびやんランチャー」の開発者、らびやんさんのグラフィックライブラリの紹介。M5Stack標準ライブラリより綺麗で高速な描画性能とのことでした。早く公式に組み込まれることを期待している人は私だけではないはずです。

「ideawake」橋本拓真さん

CO2濃度・不快指数・におい・サーモグラフィーをモニタリングして、在宅勤務を快適にするという実にタイムリーな作品。ジャンパワイヤを使った端末がなんだかとてもかっこいいです。

「ご褒美すごろく」粟津実夢さん

何かを続けるときに、スタンプを押していく「すごろく」があったらやる気が維持できますよね!という思いを実現した作品。こういう身近なテーマで欲しい物が実現できちゃうところがM5Stackの楽しさですね。

「M5Atom WALL-E / 2足歩行ロボ NanoWalker U800」糸井成夫さん

M5Atomで動くとても小さなの2足歩行ロボ。4つのサーボとバッテリーを搭載し、プレステ3のコントローラで操作できるそうです。よちよち歩く姿が可愛いです。公式にも商品化されるかもしれないとのことでした。

「水切れ通知システム」Miyu Kobayashiさん

犬の給水機の水がなくなったときに、携帯に通知が来る作品。ボトルの水がなくなると光センサにレーザー光が当たるようになっています。センサケーブルを犬にかじられないような対策が必要で、まだ実戦配備されていないそうです。犬も興味津々なんでしょうね。

「ローストビーフ製造器」林伸夫さん

M5StickCで制御する低温調理器を作ったという力作。指定温度±0.2度を数時間制御できて、ローストビーフなんかも作れてしまうそうです。温めたお湯を撹拌するために水中ポンプを付けたり、本格的な仕様で、ローストビーフの写真がなんとも美味しそうでした。詳細情報はこちらにあるそうです。

「冷蔵庫立ち寄りカウンター&ワークアウト提案システム」グェンキムアンさん

外出自粛期間中の食べ過ぎ防止のために、冷蔵庫に立ち寄る回数をカウントし、実際に食べてしまった場合はワークアウトをLINE Notifyで通知してくれる作品。M5Stackの顔の表情を変えることでプレッシャーがかかります。

投稿のみの作品

作品を投稿して当日紹介してくれたのは以上です。この他に、当日都合がつかず、投稿だけになった作品が5作品ありました。

「抜刀体験」池内剛さん

PCアプリケーションとM5StickC入りの刀で、抜刀体験ができる作品。デモを見てみたかったです。

「おどる BugC / おどる RoverC 」和田隆博さん

音楽に合わせてBugCやRoverCが踊る作品。ドラムの音を検出して、M5StickCに送り、BugCやRoverCを制御しているそうです。

「傘を持っていったら良いかどうか分かるデバイス」XMAKERSさん

OpenWeatherMapから地域の天気予報を自動で取得して、6~9時間後のデータを使って、傘が必要かどうかを表示する作品。M5 ATOMの5x5のLEDで傘マークを表現するのに苦労したそうです。

「temperature」Nazmir Fuadさん

M5Stackを使って温度を測定し、LCDに表示する作品。

「イベント用非接触温度計をM5Stackで作ってみた」古川光さん

M5Stackと非接触温度センサD6Tで作った非接触温度計。小さなイベントなどで非接触温度計が準備できない時の為に作ったとのことです。

飛び入り参加の作品

さらに、作品の事前投稿はありませんでしたが、当日飛び入りで紹介してくれた作品が3件あったので、合わせて紹介します。

「M5Stackグッズを作ってみた」パリピ般若さん

光る般若の面の作者のパリピ般若さんが、M5StackのTシャツやサコッシュなどの非公式グッズをつくったというお話。デザインは結構かわいかったです。

「YouTubeの生配信通知デバイス」森屋暁登さん

M5StackにYouTubeの生配信予定を知らせてくれる作品。普段は置き時計として使えて、生放送5分前になるとタイトルやサムネイルを表示して通知してくれます。自分が欲しい物を作りました!という作品で、力が入っていました。

「Moddableで始めるJavaScript×IoT開発」石川 真也さん

JavascriptでM5Stackやセンサなどの制御ができるModdableの紹介。マイコンで動く小型のJavascriptエンジンながら、Chromeなどとほぼ同じ構文が使えるそうです。今度やってみよう。

イベントを終えて

主催者の一人としての感想になりますが、初めてのオンラインイベントで、最初の30分は配信が上手くいかないなど不手際がありましたが、30分を過ぎてからは安定して配信できたと思います。 90人ぐらいの方に視聴してもらえました。イベント後のオンライン懇親会では「普段、twittterやFacebookで投稿を見かけるような人の生の話が聞けてよかった」というコメントも聞けて、開催してよかったと思いました。 今回の経験を活かして、オンラインイベントも続けていこうと思いました。

執筆日:2020年7月22日