JetPack OSをJ401キャリアボードに書き込む

J401キャリアボードは、NVIDIA Jetson Orin NX/Nanoモジュールをサポートする強力な拡張ボードです。 GbEポート、データ転送用CAN、SSD用M.2 Key M、Wi-FI/Bluetooth用M.2 Key E、高画質ビデオキャプチャ及びディスプレイ用HDMIをそれぞれ一つ、CSIを二つ搭載しています。 また、四つのUSB3.2ポート、ファン、RTC、フレキシブルな9-19V電源も搭載しています。これらにより、さまざまな産業オートメーションシステム、AIアプリケーションにおいて信頼性の高い構築が可能になります。

特徴

  • 高性能キャリアボード:強力なNVIDIA Jetson Orin NX/Nanoモジュールをサポートし、タフなタスクに簡単に対処
  • 多彩な接続性:ネットワーク用ギガビットイーサネットポートx1、USB3.2 Type-A(10Gbps)ポートx4、USB2.0 Type-Cポートx1、高速データ転送用CANコネクタx1を搭載
  • ストレージとワイヤレス拡張:M.2 Key M 2280x1およびM.2 Key Eスロットx1を搭載し、ストレージおよびワイヤレス接続の拡張に十分なスペースを提供
  • 様々な周辺機器をサポート:2x15ピンCSIカメラコネクタ、HDMI 2.1x1、ファンx1、RTCx1を搭載し、複数の周辺機器の接続に対応
  • 幅広い入力電圧:9-19V DCの電源が利用可能

仕様

仕様 reComputer J3010 reComputer J3011 reComputer J4011 reComputer J4012
モジュール Jetson Orin Nano 4GB Jetson Orin Nano 8GB Jetson Orin NX 8GB Jetson Orin NX 16GB
AIパフォーマンス 20 TOPS 40 TOPS 70 TOPS 100 TOPS
GPU 512コアのNVIDIA AmpereアーキテクチャGPUと16Tensorコア 1024コアのNVIDIA AmpereアーキテクチャGPUと32Tensorコア 1024コアNVIDIA AmpereアーキテクチャGPUと32Tensorコア 1024コアNVIDIA AmpereアーキテクチャGPU と32Tensorコア
GPU最大効率 625 MHz 625 MHz 765 MHz 918 MHz
CPU 6コア Arm® Cortex®-A78AE v8.2 64-bit CPU
1.5MB L2 + 4MB L3
6コア Arm® Cortex®-A78AE v8.2 64-bit CPU
1.5MB L2 + 4MB L3
6コア Arm® Cortex®-A78AE v8.2 64-bit CPU 1.5MB L2 + 4MB L3 8コア Arm® Cortex®-A78AE v8.2 64-bit CPU 2MB L2 + 4MB L3
CPU最大効率 1.5 GHz 1.5 GHz 2 GHz 2 GHz
メモリ性能 4GB 64-bit LPDDR5
34 GB/s
8GB 128-bit LPDDR5
68 GB/s
8GB 128-bit LPDDR5 102.4GB/s 16GB 128-bit LPDDR5 102.4GB/s
DLアクセラレーター / / 1x NVDLA v2 2x NVDLA v2
DLA最大効率 / / 614 MHz 614 MHz
ビジョンアクセラレータ / / 1x PVA v2
1x PVA v2
ストレージ 128GB NVMe SSD
128GB NVMe SSD 128GB NVMe SSD
128GB NVMe SSD
ビデオエンコーダ 1080p30を1-2CPUコアでサポート 1080p30を1-2CPUコアでサポート 1x 4K60 (H.265) | 3x 4K30 (H.265)
6x 1080p60 (H.265) | 12x 1080p30 (H.265)
1x 4K60 (H.265) | 3x 4K30 (H.265)
6x 1080p60 (H.265) | 12x 1080p30 (H.265)
ビデオデコーダ 1x 4K60 (H.265)
2x 4K30 (H.265)
5x 1080p60 (H.265)
11x 1080p30 (H.265)
1x 4K60 (H.265)
2x 4K30 (H.265)
5x 1080p60 (H.265)
11x 1080p30 (H.265)
1x 4K60 (H.265)
2x 4K30 (H.265)
5x 1080p60 (H.265)
11x 1080p30 (H.265)
1x 4K60 (H.265)
2x 4K30 (H.265)
5x 1080p60 (H.265)
11x 1080p30 (H.265)
ディスプレイ 1 x HDMI 2.1 1 x HDMI 2.1 1 x HDMI 2.1 1 x HDMI 2.1
CSIカメラ 2 x CSI (2レーン 15ピン)
2 x CSI (2レーン 15ピン)
2 x CSI (2レーン 15ピン)
2 x CSI (2レーン 15ピン)
ネットワーク接続 1 x ギガビットイーサネット(10/100/1000M) 1 x ギガビットイーサネット(10/100/1000M) 1 x ギガビットイーサネット(10/100/1000M) 1 x ギガビットイーサネット(10/100/1000M)
USB 4 x USB 3.2 Type-A (10Gbps)、1 x USB2.0 Type-C (デバイスモード)
4 x USB 3.2 Type-A (10Gbps)、1 x USB2.0 Type-C (デバイスモード)
4 x USB 3.2 Type-A (10Gbps)、1 x USB2.0 Type-C (デバイスモード)
4 x USB 3.2 Type-A (10Gbps)、1 x USB2.0 Type-C (デバイスモード)
M.2 Key M 1 x M.2 Key M 1 x M.2 Key M 1 x M.2 Key M 1 x M.2 Key M
M.2 Key E 1 x M.2 Key E 1 x M.2 Key E 1 x M.2 Key E 1 x M.2 Key E
ファン 1 x 4ピンファンコネクタ(5V PWM) 1 x 4ピンファンコネクタ(5V PWM) 1 x 4ピンファンコネクタ(5V PWM) 1 x 4ピンファンコネクタ(5V PWM)
CAN 1 x CAN 1 x CAN 1 x CAN 1 x CAN
多機能ポート 1 x 40ピン 拡張ヘッダ、1* 12ピン制御およびUARTヘッダ
1 x 40ピン 拡張ヘッダ、1* 12ピン制御およびUARTヘッダ
1 x 40ピン 拡張ヘッダ、1 x 12ピン制御およびUARTヘッダ
1 x 40ピン 拡張ヘッダ、1 x 12ピン制御およびUARTヘッダ
RTC RTC 2ピン、RTCソケット(CR1220をサポート、ただし電池は付属していません) RTC 2ピン、RTCソケット(CR1220をサポート、ただし電池は付属していません) RTC 2ピン、RTCソケット(CR1220をサポート、ただし電池は付属していません) RTC 2ピン、RTCソケット(CR1220をサポート、ただし電池は付属していません)
電源 9-19 V 9-19 V 9-19 V 9-19 V
電源アダプタ 付属していません 付属していません 付属していません 付属していません
温度 -10~60℃ -10~60℃ -10~60℃ -10~60℃
製品サイズ 130 x 120 x 58.5 mm 130 x 120 x 58.5 mm 130 x 120 x 58.5 mm 130 x 120 x 58.5 mm

ハードウェアの概要

JetPackを書き込む

ここでは、reComputer J3010/J3011/J4011/J4012に接続されたNVMe SSDにJetPackを書き込む方法を紹介します。これらのデバイスにはすべてJ401キャリアボードが内蔵されており、書き込む手順はすべて同じです。 reComputer J30/J40シリーズには、同梱のNVMe SSDにJetPack 5.1がプリインストールされているため、書き込む必要はありません。ただし、JetPackで再度書き込みたい場合は、このガイドに従ってください。

サポートしているモジュール

  • NVIDIA® Jetson Orin™ Nano Module 4GB
  • NVIDIA® Jetson Orin™ Nano Module 8GB
  • NVIDIA® Jetson Orin™ NX Module 8GB
  • NVIDIA® Jetson Orin™ NX Module 16GB

前提条件

  • Ubuntuホストコンピュータ
  • reComputer J3010 / J3011 / J4011 / J4012
  • USB Type-C データ伝送ケーブル

INFO:仮想マシンではなく、物理的なUbuntuホストデバイスを使用することをお勧めします。以下の表を参考にホストマシンを準備してください。

  Ubuntu 18.04 Ubuntu 20.04 Ubuntu 22.04
JetPack 5.x  
JetPack 6.x  

強制リカバリーモードに入る

注意

  • 仮想マシンとARMアーキテクチャのUbuntuを使用して書き込むことはお勧めしません。
  • インストール手順に進む前に、ボードが強制リカバリーモードになっていることを確認する必要があります。

ステップバイステップで説明

ステップ1.ジャンパーワイヤを使ってFC RECピンとGNDピンを接続する。

Button Header Description Button Header Description
1 PWR BTN 7 AUTO ON
2 GND 8 DIS
3 FC REC 9 UART TXD
4 GND 10 UART RXD
5 SYS RET 11 LED +
6 GND 12 LED -

ステップ2.電源アダプター付属のケーブルを接続してreComputerの電源を入れ、USB Type-Cデータ転送ケーブルでボードとUbuntuホストPCを接続します。

ステップ3.LinuxホストPCでターミナルウィンドウを開き、lsusbコマンドを入力します。 返された内容に、使用しているJetson SoMに応じて以下の出力のいずれかがあれば、ボードは強制リカバリーモードに入っている状態です。

  • Orin NX 16GBの場合:0955:7323 NVIDIA Corp
  • Orin NX 8GBの場合:0955:7423 NVIDIA Corp
  • Orin Nano 8GBの場合:0955:7523 NVIDIA Corp
  • Orin Nano 4GBの場合:0955:7623 NVIDIA Corp

以下の画像はOrin NX 16GBの場合です。

ステップ4.ジャンパーワイヤを外します。

Jetsonに書き込む

注意:書き込みに移る前に、Jetson Orin NXモジュールはJetPack 5.1以上にのみ対応し、Jetson Orin NanoモジュールはJetPack 5.1.1以上にのみ対応していることに注意する必要があります。

JetPack5.1.1の場合

ここでは、NVIDIA L4T 35.3.1を使用して、JetPack 5.1.1をreComputerにインストールします。

ステップ1:ホストPC上でNVIDIAドライバをダウンロードします。

ステップ2:Jetson_Linux_R35.3.1_aarch64とTegra_Linux_Sample-Root-Filesystem_R35.3.1_aarch64を、これらのファイルを含むフォルダに移動して展開し、変更を適用して必要な前提条件をインストールします。

tar xf Jetson_Linux_R35.3.1_aarch64
sudo tar xpf Tegra_Linux_Sample-Root-Filesystem_R35.3.1_aarch64 -C Linux_for_Tegra/rootfs/
cd Linux_for_Tegra/
sudo ./apply_binaries.sh
sudo ./tools/l4t_flash_prerequisites.sh

ステップ3(オプション):ユーザー名、パスワード、ホスト名を設定し、デバイスの起動終了後にUbuntuインストールウィザードに入る必要がないようにします。

sudo tools/l4t_create_default_user.sh -u {USERNAME} -p {PASSWORD} -a -n {HOSTNAME} --accept-license

例えば、(username:”nvidia”, password:”nvidia”, device-name:”nvidia-desktop”)などです。

sudo tools/l4t_create_default_user.sh -u nvidia -p nvidia -a -n nvidia-desktop --accept-license

ステップ4:システムをNVMe SSDに書き込みます。

sudo ./tools/kernel_flash/l4t_initrd_flash.sh --external-device nvme0n1p1 \
  -c tools/kernel_flash/flash_l4t_external.xml -p "-c bootloader/t186ref/cfg/flash_t234_qspi.xml" \
  --showlogs --network usb0 p3509-a02+p3767-0000 internal

書き込むプロセスが成功すると、次のような出力が表示されます。

これで、マウス、キーボード、モニターをJetsonデバイスに接続でき、JetPackが使用可能になりました。

TIP:Jetsonデバイス上でデスクトップを開くのに時間がかかる場合には電源を再接続してください。

ステップ5(オプション):NVIDIA JetPack SDKをインストールします。

Jetsonデバイスのターミナルを開き、以下のコマンドを実行してください。

sudo apt update
sudo apt install nvidia-jetpack

JetPack5.1.2の場合

ここでは、NVIDIA L4T 35.4.1を使用して、JetPack 5.1.2をreComputerにインストールします。

ステップ1:ホストPC上でNVIDIAドライバをダウンロードします。

ステップ2:Jetson_Linux_R35.4.1_aarch64とTegra_Linux_Sample-Root-Filesystem_R35.4.1_aarch64を、これらのファイルを含むフォルダに移動して展開し、変更を適用して必要な前提条件をインストールします。

tar xf Jetson_Linux_R35.4.1_aarch64.tbz2
sudo tar xpf Tegra_Linux_Sample-Root-Filesystem_R35.4.1_aarch64.tbz2 -C Linux_for_Tegra/rootfs/
cd Linux_for_Tegra/
sudo ./apply_binaries.sh
sudo ./tools/l4t_flash_prerequisites.sh

このパッチはJP5.1.2に必要で、公式NVIDIA JetPackリリースノートの4.2.3節で説明されています。

ステップ3:以下のディレクトリに移動します。

cd Linux_for_Tegra/bootloader/t186ref/BCT

ステップ4:”tegra234-mb2-bct-scr-p3767-0000.dts“ファイルを開き、tfcセクションの下に以下の行を追加します。

tfc {
    reg@322 { /* GPIO_M_SCR_00_0 */
    exclusion-info = <2>;
    value = <0x38008080>;
    };

ステップ5(オプション):”Linux_for_Tegra“ディレクトリに移動し、以下のコマンドを入力して、ユーザー名、パスワード、およびホスト名を設定し、デバイスの起動終了後にUbuntuインストール・ウィザードに入る必要がないようにします。

cd Linux_for_Tegra
sudo tools/l4t_create_default_user.sh -u {USERNAME} -p {PASSWORD} -a -n {HOSTNAME} --accept-license

例えば、 (username:”nvidia”, password:”nvidia”, device-name:”nvidia-desktop”)などです。

sudo tools/l4t_create_default_user.sh -u nvidia -p nvidia -a -n nvidia-desktop --accept-license

ステップ6:システムをNVMe SSDに書き込みます。

sudo ./tools/kernel_flash/l4t_initrd_flash.sh --external-device nvme0n1p1 \
  -c tools/kernel_flash/flash_l4t_external.xml -p "-c bootloader/t186ref/cfg/flash_t234_qspi.xml" \
  --showlogs --network usb0 p3509-a02+p3767-0000 internal

書き込むプロセスが成功すると、次のような出力が表示されます。

これで、マウス、キーボード、モニターをJetsonデバイスに接続でき、JetPackが使用可能になりました。

ステップ7(オプション):NVIDIA JetPack SDKをインストールします。

Jetsonデバイスのターミナルを開き、以下のコマンドを実行してください。

sudo apt update
sudo apt install nvidia-jetpack

JetPack6.0の場合

ここでは、NVIDIA L4T 36.3を使用して、JetPack 6.0をreComputerにインストールします。 ステップ1:お使いのJetsonモジュールに対応するシステムイメージをUbuntu PCにダウンロードします。

Jetson Module ダウンロードリンク JetPackバージョン L4Tバージョン
Jetson Orin NX 16GB ダウンロード 6.0 36.3
Jetson Orin NX 8GB ダウンロード 6.0 36.3
Jetson Orin Nano 8GB ダウンロード 6.0 36.3
Jetson Orin Nano 4GB ダウンロード 6.0 36.3

ステップ2:ダウンロードしたイメージファイルを解凍します。

sudo tar xpf mfi_xxxx.tar.gz
# For example: sudo tar xpf mfi_recomputer-orin-nano-8g-j401-6.0-36.3.0-2024-06-07.tar.gz

ステップ3:解凍したディレクトリに移動し、以下のコマンドを実行してJetPackシステムをNVMe SSDに書き込みます。

cd mfi_xxxx
# For example: cd mfi_recomputer-orin-j401
sudo ./tools/kernel_flash/l4t_initrd_flash.sh --flash-only --massflash 1 --network usb0  --showlogs

書き込むプロセスが成功すると、次のような出力が表示されます。

注意:書き込みのコマンドは2~10分間実行されます。

ステップ4:ボード上のHDMIコネクターを使ってJ401をディスプレイに接続し、初期設定のセットアップを完了します。

INFO:お客様のニーズに応じて、システム設定を完了してください。

ステップ5:システム起動後、以下のコマンドを実行してワイヤレスネットワークカードのドライバを再アクティブ化する必要があります。

sudo rm /lib/modules/5.15.136-tegra/build
sudo ln -s /usr/src/linux-headers-5.15.136-tegra-ubuntu22.04_aarch64/3rdparty/canonical/linux-jammy/kernel-source/ /lib/modules/5.15.136-tegra/build
sudo apt install -y iwlwifi-modules

資料

テクニカルサポートと製品に関するフォーラム

ご購入いただいた製品をスムーズにお使いいただけるよう、Seeedでは様々なサポートを提供しています。ご希望に合わせてコンタクトの方法をお選びください。

出典 : Seeed Studio資料 Wiki - Flash JetPack OS to J401 Carrier Board

https://wiki.seeedstudio.com/reComputer_J4012_Flash_Jetpack/

*このガイドはSeeed Studioの許可を得て、スイッチサイエンスが翻訳しています。